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異国から来た若い女性を、たくさんの日本人がいじめているように見える

にゃー将軍です。

 

とてもやりきれない気持ちになったニュースがあったので書こうと思います。

 

 

mainichi.jp

 

死産した双子の赤ちゃんの遺体を、 手紙と共に箱に入れて翌日まで同じ部屋で過ごしていた技能実習生に、その行動を「遺体遺棄」とする有罪判決が出たというニュースです。

 

まず最初に断っておくと、にゃー将軍はこのリンさんにとてもとても同情的な立場で、しかしこのニュースについて数本の記事を読んだだけの法律にも何も詳しくない一般人です。

 

だから、法曹関係者からすればとんちんかんな意見かもしれませんが、私から見ればこの判決、またこの裁判に至るまでの過程が、異国からきた若い女性に対してあまりにも酷く、弱いものいじめのようになっているようにしか見えません。

 

この判決が出る前、6月にもう少し詳しい経緯も書かれた記事があり、下記のようにコメントしました。

 

 

「これで有罪になれば大変なことになる」孤立出産で死産した技能実習生の起訴に対して医師が示した危機感(望月優大) - 個人 - Yahoo!ニュース

誰にも相談もできないまま死産というだけでも死ぬ程辛くて苦しいことなのに、更に有罪になるんだとしたら、この国には神も仏もいないと彼女は思っているんじゃないか。日本がそんな国ではないと信じたい。

2021/06/29 20:49

 

この記事の一部を引用します。

 

彼女が雇い主など誰にも妊娠を打ち明けられなかったことの背景には、そうすることで実習を一方的に中断され、帰国を迫られることへの恐怖があった。

 

当日の痛みは激しく、多くの出血があり、身体的な衰弱のみならず死産の精神的なショックまでもが加わる形となった。一般的に双子の出産はハイリスクだと言われるが、リンさんの場合はさらに初産で、かつ孤立出産という要因も重なっていた。

 

その恐怖と混乱、心身の疲弊の中で、リンさんは部屋にあった段ボール箱の底に白いタオルを敷き、双子の遺体を入れ、青いタオルを上からかけ、その箱を部屋の棚の上に置いた。

 

そして、布団に横たわりながら双子の名前を考え、手元にあったノートにピンクのペンで二人の名前と産まれた日付、かれらにごめんねと謝る気持ちや安らかにという祈りの言葉などを書き込み、箱の中に入れた。

 

翌日午前に雇い主から声をかけられ、監理団体の職員によって病院に連れていかれたリンさんは、当初は妊娠の事実を否定するも、検査結果を提示され、警察に通報するとも言われて、最終的には認めることになる。その後、警察はリンさんを死体遺棄罪で逮捕し、検察も同罪で起訴した。

 

 この記事によると、孤立出産後翌日には病院に連れて行かれて通報という流れのようなのですが、出産というのは本当に壮絶でしんどいものです。

 

産後すぐにテキパキ行動したり、複雑に物事を考えたりできません。

 

出産について

 

にゃー将軍の出産を少し紹介すると、陣痛が始まってあまりの痛さに「やめたい!中止したい!」と助産師さんに相談しましたが却下され(当然)、せめて今からでも和痛分娩(無痛ではないが麻酔で痛みを少し軽減する)にできないかと相談し、麻酔を打ってもらいました。

 

それで麻酔をしていてもとんでもない痛みは続き、にもかかわらずお産はなかなか進まず、私の分娩時間は31時間に及びました。

 

痛みがより強くなり、痛みの間隔が狭まってくることでお産が進むと教わりましたが、耐え難い痛みに午前中から耐えているのに夕方に今何合目か助産師さんに聞いたところ、「まだスタート地点かな」と言われたときには心が折れてしまいました。

 

この痛みがMAXに対してどれぐらいなのか、そしてあとどれぐらいの時間耐えればいいのかっていうのがわからないことも不安でした。

 

もう無理だと思って何度も助産師さんに「帝王切開にしてください」とも言いました。

 

でも何度も助産師さんに励まされ、弱音を吐く自分が情けなくなって泣きながら、何とか出産できました。

 

最新の機器で管理されながら、24時間体制で医療スタッフに面倒を見てもらいながらでやっとでした。

 

もし孤立出産だったら・・どんなに心細かっただろう、どんなに痛くて怖かっただろう・・私だったら赤ちゃんを無事産みきることはできなかったんじゃないかと思います。

 

出産の痛みの感じ方も人それぞれで、あっという間に生まれたとか、思ったよりは痛くなかったとかっていう感想も聞きます。

 

でも私から見れば、誰も助けてくれない中で双子の出産っていうのは本当に辛くて体の負担も大きいものであり、その産後間もない大怪我したような状態の人を捕まえて、「子供を棄てた」と断罪するなんて鬼みたいだと思います。

 

実際、彼女は赤ちゃんたちを箱を棺に見立てて弔っているのに、それじゃだめなんでしょうか。

 

棄てるつもりの赤ちゃんに名前を付けたり謝ったりしないと思うんです。

 

死産について

 

前に別の記事でも書きましたが、私の母の人生で一番辛かったことは流産したことだそうです。

 

私の義母も流産、死産を経験していて、特に出産予定日が近かった赤ちゃんがお腹の中で亡くなっていることを病院で告げられたときにはその病院の窓から飛び降りようかと思ったとその後何十年も経っていますがいまだに言います。

 

私もチャプちゃんを妊娠して間もない頃、心拍が確認できなかっただけで随分動揺しました。

 

「天使ママ」とかで検索すると本当にたくさんの人の言葉がヒットすると思いますが、お腹の赤ちゃんを亡くしたママの悲しみは一生癒えるものではないんだと思います。

 

お腹に自分とは違う命がいるということは、温かくて不思議な感覚で、「自分の」赤ちゃんというのもあると思いますが、「何か、天から預かっている尊いもの」という風に私は感じました。

 

なので、例えば想定外の妊娠だったり、今産んだとしてもちゃんと育てていけないと思ったとしても、それを自分の一存で中絶するのはとても重たい決断だと思います。

 

「なんで早いうちに堕ろさなかったんだ」と外野から言うのは簡単ですけど。

 

どうすれば彼女は追い込まれなかったのか

 

約150万円の借金をして技能実習生として来日したリンさんは手取り12万円ほどの月給で働いていたそうです。

 

ごく初期であれば10万円程度で中絶手術が受けられるようですが、妊娠週数が進むにつれてその金額は高くなっていくようです。

 

また「パートナーの同意が必要」とする病院もあるようです(法的には未婚であれば必須ではないようです)

 

今軽くググってみただけですが、同意書がいるかどうかだけを見ても「できるだけ同意を得るべきだが、どうしても得られない場合は相談してください」のようにはっきりとしたことを書いていない場合が多かったです。

 

生粋の日本人がググってこれなんですけど、外国から来た女の子が頑張って日本語で検索してこんな検索結果だったら???となっちゃうんじゃないでしょうか。

 

そもそも借金を背負ってでも来日して、頑張って稼いだお金を家族に仕送りしようとしているわけで、妊娠がバレたら強制帰国させられると思っている状況で、とりあえず産婦人科に一回相談に行ってみようとはならないんじゃないでしょうか。

 

つまり、当初の目的(家族に仕送りをする)から考えると、もう妊娠した時点で詰んでるんですよね。

 

じゃあ妊娠するようなことをしたのがいけないんでしょうか。

 

技能実習制度について詳しく知らないのですが、結構安い給料でこき使われるというイメージがあります。

 

そんな大変な毎日を過ごしている中で、同じ実習生仲間だとかで話が合うとか一緒にいて楽しい子がいたら、仲良くなってくっつくのは全然自然なことだと思います。

 

それって人として普通のことでは?

 

「セックスは好きにOK、ただし産み育てる覚悟もないのに妊娠する女はNG」として、女性だけが責められる状況があると思います。

 

どうして起訴されたのか

 

 ここまで、「産後すぐでボロボロなのに逮捕なんて可哀想」「赤ちゃんが死んでしまって悲しいのに酷い」という感情論をだらだら書いてきたわけなんですが、皆さんのコメントを見ると少々様子が違いました。

 

彼女に同情的ではあるものの、そもそもなぜ起訴されるのかというところに疑問を感じている人が多いようです。

 

id:imakita_corp さんのコメントを引用すると、

 あの慈恵病院の先生が危機感を持つのは当然だけど、報道の仕方に違和感。自宅死産は死亡届が遅れれば死体遺棄で逮捕されるも不起訴になるのが大抵だと思うので何故起訴されたのかを掘り下げるのが報道の役割のような

 とあります。

 

門外漢なので、全然わからないのですが、不起訴になるのが普通なのに、技能実習生だから起訴されたのだとしたら、それはどうしてなんでしょうか。

 

それからこのニュースについて、にゃー将軍が一番共感したコメントが

id:hi_kmd さんのもので

 技能実習生の人権が大きく毀損されている問題、出産育児で何かトラブルがあったときに過剰に母親のみに責任を負わせる問題、処罰感情を優先し曖昧な罪状を適用しようとする警察・検察など、複数の問題が有る。

 です。

 

このコメントが私の言いたいことを全てまとめてくれているので、こんなにだらだら書かないでもよかったかもしれません。

 

終わりに

 

このニュースを見て、こんなに四面楚歌な状態に追い込まれている女性のことを雇い主や監理団体の職員や警察や検察はどう思っていたんだろう・・と思ったんです。

 

これは想像ですけど、心の中では「気の毒だなあ」とか「自分が彼女の立場だったとしても詰むなあ」と思いながらも、自分の仕事をルール通りに遂行しただけなのかもしれないなあと思いました。

 

それから、赤ちゃんたちが無事に生きて生まれていたとしても、その前途は多難だったと思うと気が重くなります。

 

緊急避妊薬がもっと簡単に手に入れば・・、育てられないと思っても特別養子縁組制度を使うことができれば・・、

 

予期せぬ妊娠を女性だけの問題にしてはいけないと思います、一人では妊娠できないんですから、人類の問題です。